製造業における経年品質とは

品質管理

こんにちは、かじつとむです。

いままで品質について、とくに製造品質における初期品質について説明してきました。

今回は、製造品質のもう1つである経年品質について説明します。

この記事を読むことで以下のことがわかります。

  • 経年品質について理解することができる
  • 経年品質を評価したり、数値化するポイントについて理解できる

それでは、いってみましょう!

製造業における経年品質とは:製造品質・初期品質・経年品質

まず経年品質を説明する前に、製造品質について説明します。

製造品質とは、製品の仕様図や図面に対して過不足なくつくる品質のことをいいます。
たとえば、寸法通り製品が造られているのか、お客さんにわたる前に製品に傷がついていないか、いつまで製品が使えるのか、などが製造品質にあげられます。

製造品質はさらに2つの品質にわけることができます。それが初期品質経年品質です。

初期品質とは、顧客の手にわたったときの品質です。
この品質は、工程内の検査や出荷検査によって保証できる品質です。

経年品質とは、製品を使用する期間によって劣化する品質です。
この品質を測定する指標として「信頼性」「整備性」「耐久性」「メンテナンス性」があります。

次はこの4つの指標についてそれぞれ解説します。

製造業における経年品質の指標 その1:信頼性

信頼性は、製品を連続して使用する際に、どれだけの期間故障しないかを示す指標です。

信頼性における経年品質は以下の図の変化をします。

まず購入時は初期品質となっており、時間が経つにつれて品質は劣化していきます。
ある時期に故障が発生し、修理を行うと品質が回復します。
この故障と修理を繰り返し、製品が完全に壊れるまで続きます。

信頼性は、このような回復できる品質に用いられ、その期間を平均故障間隔 MTBF(Mean Time Between Failure)で数値化します。

平均故障間隔は購入から現在までの稼働時間と故障回数を用いて、以下の式で算出できます。
$$ \mathrm{MTBF} = \frac{稼働時間}{故障回数} $$
たとえば、パソコンを120時間稼働して故障、60時間稼働して故障、90時間稼働して故障した場合を考えてみましょう。

このときの平均故障間隔は以下のように算出できます。
$$ \mathrm{MTBF} = \frac{120時間 + 60時間 + 90時間}{3回} = 90時間 / 回 $$
このようにして、平均故障間隔を算出し、信頼性を数値化します。

製造業における経年品質の指標 その2:整備性

整備性は、故障の修理のしやすさのことをいいます。

整備性を数値化するには平均修理時間 MTTR(Mean Time To Repair)を使用します。

平均修理時間は修理時間の合計と故障回数を用いて、以下の式で算出できます。
$$ \mathrm{MTTR} = \frac{修理時間の合計}{故障回数} $$
たとえば、パソコンが故障した回数が3回で、それぞれの修理時間が2時間、3時間、4時間とします。

このときの平均修理時間は以下のように算出できます。
$$ \mathrm{MTTR} = \frac{2時間+3時間+4時間}{3回} = 3時間/回 $$
このようにして、平均修理時間を算出し、整備性を数値化します。

製造業における経年品質の指標 その3:耐久性

耐久性は、製品が完全に壊れるまでの時間のことをいい、別名製品寿命ともいいます。

たとえば、パソコンであれば製品寿命3年〜5年だったり、自動車では走行距離20万kmというように耐久性を表現します。

耐久性のグラフを縦軸品質Q、横軸時間logTを使って以下のようにあらわします。

耐久性を保証するためには、試験を行います。
このとき、経年品質に対してもっとも劣化しやすい使われ方や初期品質が最も悪いものを選定して試験を行なって、経年品質を保証します。

また、耐久性を保証するために同じ時間をかけて試験を行うには時間がかかりすぎてしまいます。

よって、製品をより過酷な条件下で試験をし、強制的に劣化を進める試験をします。この試験を加速劣化試験または加速試験といいます。

加速劣化試験によって得られたデータから、通常の使われ方だとどのくらい耐久性があるのかを見積もって保証します。

経年品質の劣化を加速させるために、たとえば、高温や高負荷であったり、仕様によっては極低温下のような過酷な環境下での試験を行います。

製造業における経年品質の指標 その4:メンテナンス性

メンテナンス性は、耐久性を延ばすための保守点検作業のしやすさのことをいいます。

メンテナンス性は、作業が簡単で短時間で行うことができ、かつ安いことが求められます。

メンテナンス作業は、部品の清掃や婆愛によっては部品交換などがあげられます。
製品のくみつけやすかったり、特殊な技術が必要でなかったり、カスタマーサービスが充実して、かつ対応が速いこともメンテナンス性向上につながります。

製造業における経年品質とは:まとめ

いかがでしたでしょうか?以下まとめです。

  • 経年品質とは、製造品質の一部で、製品を使用する期間によって劣化する品質
  • 経年品質を評価する指標として「信頼性」「整備性」「耐久性」「メンテナンス性」がある

みなさんも製造業に関わるなら、ぜひ経年品質も考慮にいれてものづくりに励んでください。

最後までこの記事を読んでいただきありがとうございました!

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